ナチュラルだからヘルシー

text & photo by SETSU

天然の香りでリラックス。私だけのオリジナルお香をつくる

和の香りにほぐされたい。でも、そもそもお香って?

人間が枯れ枝を拾って燃やしたときに発する匂いに気づいてから、私たちは香りとともに暮らしてきました。今回はそんな長い歴史を持つお香を、オリジナルで作れるということで《薫物屋香楽(たきものやからく)》の手づくりお香教室におじゃましました。

和の香りには、大まかに「インセンス(線香)」「匂い袋」「練り香」の3種類があります。なかでも一番なじみが深いのは、やはり線香でしょう。インセンスは主に円錐型のお香のことを指しますが、線香もインセンスの仲間で、形状が線の様に細長い棒状のもののことを線香と区別して呼んでいるのです。

線香はお香の中でも究極といわれており、香りを楽しむのにも火をつけるだけ、香りの持続時間も線香の長さを調節するだけ、と万能なお香のカタチなのです。今回は、インセンス作りにチャレンジしました。インセンスは「椨粉(たぶこ)」と呼ばれる木の樹皮を削って粉末にしたものを基本に、「白檀(びゃくだん)」や「沈香(じんこう)」をブレンドし、水と練ったものを整形し、乾かすことで簡単にできます。

《五味》と《重さ》で表現される和の香りは、しみじみ優しい

市販されているお香のほとんどは、合成の香料を足すことで一瞬で香りがわかるようになっています。しかし、こちらで使用しているお香はすべて天然なので、香りの立ちかたや香りそのものが、しみじみと優しいのです。

和の香りを表現するときは、「甘い」「辛い」「苦い」「酸っぱい」「塩辛い」といった《五味》を組み合わせ、さらに「重い」「軽い」の《重さ》で奥行きを表現します。まるで味のようですね。でも、香りの原料となるもの(全15種類!)のひとつひとつを聞いて(そうそう、香りって《聞く》と表現するのです)みましたが、やはり味とは違うわけで、甘い以外はなかなかわかりませんでした。

さて、みなさんは「トップノート」「ミドルノート」「ラストノート」という言葉を聞いたことがおありでしょうか。これは、フレグランスをつけたとき、含まれる成分によって香る時間がトップノート(フレグランスをつけてから20分)、ミドルノート(2〜3時間)、ラスト(半日くらい持続)と変化していくことを指すのです。

ところが、なんと和の香りはほとんどラストノートの原料なのだそうです。教室に入ったときから、じんわりと香りが漂っていたのにはそういう理由があったとは!ラストノートと呼ばれるものの中でも色々な香りの漂い方があるのでそこをじっくり調合したり、聞いてみたり…と、実に繊細で奥深い世界なのです。

吸い込むほどに体の芯から緩んでいく和の香りを暮らしに

それぞれの香りの原料は、木の樹脂、根、茎葉など漢方薬の材料としても使われているものなので、香りを吸いこむだけでいろいろな効果を期待できます。

たとえば西洋では「パチョリ」と呼ばれる「かっこう」というシソ科の植物を乾燥させたものは、皮膚病の薬などに使用されているそうです。

そんな、興味深いお話を聞きながら自分の好きな香りを混ぜ混ぜ、こねこねしているうちに、あっという間にインセンスができちゃいました。こんなに簡単に自分の香りが出来るとは!

火をつけると、天然素材の優しい香りが静かに解けていきます。細胞も心も芯からゆるゆる、リラックス。あわただしい毎日の生活の隙間、スキマに上手に自然な香りを取り入れればイライラもやさーしく解けていきそう。

みなさんも是非、あわただしい日常から優しく心を解きほぐしてくれる和の香りを取り入れて、ゆったりした時間を過ごしてみては?

株式会社 みやび(薫物屋香楽)
東京都台東区鳥越2-12-11 杉若ビル4F
TEL 03-3864-4548 FAX 03-3861-8965

今回使ったお香の材料一覧。香りの原料だけで15種類!

今回使ったお香の材料一覧。香りの原料だけで15種類!

良く使う材料は駄菓子屋のキャンディーみたいにたっぷりと。

良く使う材料は駄菓子屋のキャンディーみたいにたっぷりと。

椨粉(のり材)に色々な香りの元を入れ、乳鉢でよーく混ぜ合わせます。

椨粉(のり材)に色々な香りの元を入れ、乳鉢でよーく混ぜ合わせます。

お水をきちんと注射器で測って入れ、まだまだこねていきます。

お水をきちんと注射器で測って入れ、まだまだこねていきます。

円錐形に整形したら板の上で乾かします。…現代アート?

円錐形に整形したら板の上で乾かします。…現代アート?